これまでやって来た事

それなりに長く(社会人キャリアの半分以上)在籍したので前職の『まとめ』をしておきたい。
前職は、間接業務(人事や経理など)をサポートするパッケージソフトウエアを開発販売する会社。
いわゆるパッケージベンダー。
自分は開発者だったが、営業サポートや導入サポートで製品説明や運用相談(提案)も行っていた。
後半は、ユーザー会の運営などにも首をつっこんだ。
結局、自分はユーザーと『ダイレクト』にコミュニケーションを取りながら、何かしらを作り上げる事が好きであるようだ。
『ソフトウエアに拘らなくても良いのかもしれない』とは常々考えていた事。


自分が考える、『業務アプリケーション』パッケージベンダーのポイント(自分にとっての課題)は以下。
1.営業段階でソリューションの方向性が8割方決まる
2.ステークホルダーが多層(経営層、マネージャー層、オペレーター層)に存在する
3.ユーザーはアプリケーションを商売に使うわけではない(あくまでコスト削減でプロフィットを産み出さない)
(書いてみるとパッケージに限らないことかも)


【ポイント1】”営業段階でソリューションの8割が決まる”
パッケージソフトは本来、カスタマイズをしない訳だから、買ってしまえばそこで終わり。
(カスタマイズ前提ならテンプレートソフトとか、呼び方を変えるべきじゃないかと思う)
したがって、購入する前のフェーズが重要になる。
・目的の設定
・運用の想定
・ソフトウエア適用部分の決定
を行った上でソフトウエアを選定することが望ましい。
購入前に、もっとも時間とコストをかけるべき。
(もちろん、やっているのだろうが)


ベンダーが営業時にかけられるコストには限度がある。
コンサルタントを雇って購入前のフェーズを担当してもらうとしても、スムーズに運用まで結びつけるのは難しい。
SIerとパッケージベンダー、コンサルファームはそれぞれ商売のポイントが違うから。
コンサルファームを含めベンダー側で折り合いをつけた結果、それがユーザーの利益を最大にするか?
ユーザーの利益が最大になったときにベンダーの利益も最大になりうるか?
綱引きの結果、強い方が勝つ。
SIer、パッケージベンダー、コンサルファームそれぞれのあり方を問題視しているわけではない。
ユーザーが主導権を持って、ベンダーをコントロールして行く事が望ましいと、自分が考えているという話。
そして、ユーザー側の論理武装リテラシーのレベルが上がらないと、ソフトウエアも、もう一段上に行けないだろうという考え。
丸投げは楽だが、長期的に考えるとお互いに良くない。


【ポイント2】”ステークホルダーが多層(経営層、マネージャー層、オペレーター層)に存在する”
営業段階でコミュニケーションの対象になるのは経営層。もしくは、その意向を汲んだ(汲むように動く)マネージャー層。
オペレータからアプローチする営業は聞いた事がない。
この段階でどこまで(オペレーション)踏み込んだ話をするかだが、ベンダー側はポイントを絞って、シンプルにしたいというのが本音のはず。
また、そうでなければ経営層に伝わらない。
結果、購入のための要件定義書が出来上がる。
運用のための要件定義ではない。


製品やサービスが売れて、導入に入ると(もしくはもっと先になって)オペレータレベルの話題が出てくる。
現場で重要なのは、人がどのように関わるかと、システムのパフォーマンス。
システムの正確性や、スピードやUI、連携の仕方によってオペレーションとその結果は変わってくる。
使い勝手の問題と言い換えても良い。
細かい視点で問題が発生し、それを解決していくと、ときには追加コストも発生する。
そうすると、今度は経営層やベンダー側の目的や利益から外れていく。
が、これはトップダウンでアプローチする限り、仕方のない事だとも思う。


【ポイント3】”ユーザーはアプリケーションを商売に使うわけではない”
オペレーションが議論の中心になると、使い勝手や見た目の問題になる。
それは、乱暴な言い方をさせてもらえば現場の方の主観。
さらに、乱暴な言い方をすればユーザー会社の利益には影響を与えない部分も含まれる。
エスカレートすると、会社のお金で、従業員の好みの椅子や机に買い換えるような状態に近づいていく。


実は、具体的にシステムの改修に影響を与えるのは、この段階の意見(使い勝手)によるものが少なくない。
そしてカスタマイズか標準機能の変更かという綱引きがはじまり、普通はカスタマイズという決着が多いのではないか。
ここでコストが発生する事に対して、何を軸にして議論すれば良いのか?
オペレーターにとっての『使い勝手』の重要性は認識しているが、あえて課題と考えたい。
『使い勝手』以外に議論すべきポイントはないのか。
『使い勝手』は何とトレードオフされるべきか?
『使い勝手』のみが重要視されるシステムは本当に必要なのか?