くまもとにもどりまして

熊本は豊かなのだ。
こちらに戻っての印象。

豊かさの定義を調べると

1 満ち足りて不足のないさま。十分にあるさま。「黒髪の―な女性」「緑―な森」「才能の―な画家」「国際色―なマラソン大会」
2 経済的に恵まれていてゆとりのあるさま。「―な家に育つ」「―な生活」「給料日後で懐(ふところ)が―だ」
3 心や態度に余裕があって、落ち着いているさま。「―な心を育む音楽」「心―に余生を過ごす」

とある。
個人的に、付け加えるならバリエーションの豊富さと、それを持続できる事だろうか。
こんなデータもある。
消えた年収>給与が低いところで安定していた九州の南部地域「これでもまだマシか」


少し前に発表された『都道府県別幸福度ランキング』で熊本は5位。
『幸福度』自体良くわからないし、それを測る指標についても疑問が多いのだが、5位という結果は実感としてわからなくもない。
熊本県民の気性を考えるともっと上位にランクする可能性すら感じる。
幸福度ランキングでは、上位に、平均年収ランクでは下位にあたる県が多い。
熊本も平均年収は全国平均より100万ほど安く、平成20年のデータで言えば、全国で38位。
東京599.7万円、熊本389.1万円。
この200万円と引き換えに、熊本に何があるか。
私の主観で良かった事。

  • 水美味い
  • 飯美味い(そして安い。素材が新鮮であると思う)
  • 家賃(安い、広い)
  • パーソナルスペースの広さ(同じ料金を出した場合に、交通機関、飲食店、サービス)
  • 空が広い(意外なくらい爽快)
  • 暖かい(が、今年は特別との事。今はチョー寒い)
  • 地震が少ない(震災が起こった事で特に感じる)
  • 温泉が沢山(車で小一時間で行ける範囲に多数)
  • 車で2時間以内の場所に海も山も川もある

逆に困った事。

  • 書籍の発売日が遅れる
  • 好きな落語や芝居がかからない

無理やりまとめると、安心があり、刺激が足りないという事だろうか。
加えて学生の頃を思い出すなら、大学、会社の選択の幅。
大学や会社の選択肢が多ければ熊本の外へ出たか?
今となっては分からないけれど、新卒時や転職活動時に地元の企業も調べた事を考えると可能性はある。


業務用のブログにも書いたが、熊本は福岡のベッドタウンを目指してはどうか。
新幹線で50分。これを生かさないのはもったいない。
新幹線は観光よりむしろビジネスに活かすべき。
(新幹線は阿蘇へも天草にも直通しない)
現在の通勤定期が約10万円。これを5万ぐらいにしていただきたい。
乗車率も増えてJRさんの売り上げも上がると思いますよ。(平日の利用状況は閑散たる物)
熊本、福岡に限らず、東京と、周辺の甲府、前橋、宇都宮、水戸などに関しても言えると思う。
このあたりの定期代を下げてくれれば、労働者の選択肢が増え、地方都市も潤うと思う。


もう一つ、地方には働きたい企業がないのではなく、見つからないだけという可能性もある。
物の見方が変わった事もあるだろうが、こちらに戻ってみると、面白い取り組みをしている企業も多い。
九州全体でみると、びっくりするぐらい財政状態の良い企業もぽつぽつとある。
給与の額面で見てしまうと学生さんには響かないかもしれないが。
そして、企業側にPR(もしくは学生に対するホスピタリティ)とチャレンジと権限委譲があれば…難しいか。
県内に留める事が難しいのであれば、外に出て、そして成功した人に、経験やお金を持って地方でチャレンジしてもらうための取り組みも価値があると思う。
おそらく仕事はたくさんある。お金が動きにくいだけ。


先日、『くまもと未来会議』というイベントに参加してきた。
パネラーの年齢層の幅と構成(会議ではなく合同セミナーに近い)については一考をお願いしたいが、
・現状維持で良いという気持ちでは現状維持できない
・自助の気持ちを持ちましょう
・ホスピタリティが低いと評価されている事を自覚しましょう
などの指摘があり、面白い(効果的と感じる)アイデアもたくさんあった。
しかし、どんな素晴らしいアイデアも、当事者に変わろうという意識がなければ実現されない。
当事者が望まない提案をしても押し売りになってしまう。
意識に火をつけることさえできれば、方法や手法は何でもよいのだと思う。
一方で、今の生活で十分だよという気持ちも分かる。
現在の熊本は豊かであり、現状に満足する事は悪い事ではないはず。
最近、どちらがベターなのか良くわからなくなって来ている。
このイベントの内容は学生さんに聞いて欲しいと思った。(我々より、学生達にこそ聞かせるべき)
そして、どのような感想、意見を持つか聞いてみたい。(そういう場こそ用意するべき)
大人は会議室で、若者はネット上で、では永遠に噛み合わない。


個人的な来年の課題。
どうすればコミュニティが現状維持(もしくは緩やかな衰退)できるかについて勉強してみようと思っている。
100年後の日本の人口は5,000万人という。
ならば、そのときに現在の生産量を維持できていれば、それは豊かな未来(過剰な物資)と言えないか?
実用に関していえば、ダムにしろビルにしろ住居にしろ、これから新しく作らなくても余っているはず。
感覚的には撤退戦。
きっちり撤退しなくては反撃できない。
そして、私が国にお願いしたい事は、どこまで退くかのライン引き。