『マリアビートル』伊坂幸太郎

マリアビートル

マリアビートル

伊坂幸太郎作品は、去年の暮れから今年にかけて6冊くらい刊行され、随分読んだ。
ゴールデンスランバー』あたりからエンターテイメント系の作品に割り切りを感じているが、その完成系の一つが
『マリアビートル』かもしれない。
上質なアクションムービーを見ているような面白さ。
久しぶりに一気に読んでしまった作品。


内容は、東北新幹線の中での殺し屋同士のやり取り。
アクションムービーを見ている感覚なのだが、本当に映画にしたら地味かも。
なにしろ舞台のほとんどが新幹線の中。
深夜番組で、毎週10分くらいで小気味良くやってくれると良さそうな感じ。
小気味良さ。スピード感と軽快感が窮屈な空間で生み出されているところがミソかなと思っているが、考えないで
楽しむのが一番の小説だと思う。


伊坂幸太郎は同い年の作家。
作品がどんどん変化していくのを感じられるのも良いところ。
どの作品も好きなのだが、これまでの一番は、『チルドレン』、『魔王』、『砂漠』あたりで決めかねている。
そこに『マリアビートル』が加わるが、とっつきやすさではこれが一番かも。
迷いのない完成された作品ではないか。
あえてケチをつけるなら、その迷いのなさが少しだけ残念。
このままそっちに行ってしまいますかと。。。