主人のつもりが奴隷だった

女王蟻や女王蜂がらみの話も、もちろんあって、遺伝のメカニズムの話は面白かったが消化不良(理解不足)なので割愛。
好きな人はこっちの話の方が興味あるだろう。


女王は、コロニーの中心であって、もちろん重要な機能であるのだけれども、意外な事に代替が効くらしい。
(考えてみれば当然の事)
いなくなると他の働きアリのどれかが女王になる。
また、雄、雌の比率をコントロールするために、卵の世話をするアリが勝手に雄を殺してしまうらしいのだから、女王は君臨しているというよりも、他から使われているという見方もできる。
繰り返すが、女王であっても代わりがいるのだ。(ここのところで、綾波レイの台詞が引用されていて『今風!』と思ったよ)


主人のつもりが奴隷だったというのは、意外とよくある話なのかもしれない。
例えば、最近、脳(というより意思)というのは、実はあんまり偉くないなと思い始めている。
『体』は『私』のいう事を聞かないけれども、『私』は『体』のいう事に逆らえない。
例えば、『早寝早起きしよう』と決意しても容易には実行されないが、体が『お腹すいた』と感じれば私はなんとかしなきゃと躍起になるわけだから。
どちらが主でどちらが従かは自明。
役割として、指揮系統が脳にゆだねられているだけ。
それらを操っているつもりの、『意識』という曖昧なものはあるのかどうかさえ疑わしい。
全部、後付の解釈なんじゃないのと思える事もある。


前にも書いたけど、役割の違いがそのまま上下関係に繋がるのはシンプルではあるが、それほど合理的ではない気がしている。
アリの世界では女王蟻と働き蟻はフラットかもしれない。逆に女王蟻がこき使われているのかもしれない。


もっとも、蟻達に、我彼の区別などないのではないかもしれない。
様々なパーツが人間の体を構築しているように、コロニー全体で一つの私(アリ)。
この本を読んでいると(どの蟻も遺伝子の4分の3は同じという記述もあって)そんな風に感じられた。